
先月紹介した Pygmalion との合同レコ発パーティーを成功に収めたシューゲイズ・バンド、 cigarette in your bed の最新 e.p。
アコースティックギターとバックグラウンド・ノイズの絡みが印象的な楽曲からこの e.p. はスタートする。僅か一分半のトラックではあるが、シンプルな構成の中に彼らの武器である儚げなメロディ、途方に暮れる感情を表現したような混沌が充満しており、 e.p. の幕開けに相応しい intro 的な楽曲である。そしてこの楽曲のタイトルは「teenage is dead」。これ程までに痛快で残酷なタイトルが他にあるだろうか?シューゲイザーというジャンルは残酷な描写で耽美な風景を映し出すジャンルなのだが、その思想をタイトルのみでここまで端的に表現されてしまうと、そのセンスに驚きを隠し得ない。
正確なビートを淡々と刻む冒頭のドラムが印象的な「dive to white」、優しい歌声のレイヤーが美しい「muff song」など、 90 年代の洋楽のエッセンスがあらゆる形で随所に表出していながらも、断片的にトレース可能な「water」の日本語詞など、日本産バンドとしてのアイデンティティを彼らはしっかりを備えている。また、どの楽曲においても緻密に設計された音響的なミックスは、とても美しい俯瞰的景色を表現しており、また世界観も隅々まで完璧に統一されている。そこから垣間見えるのは、音楽表現に対するバンドのストイックな姿勢である。
形式だけでなく中身の伴った、本当の意味でのオルタナティブ・ミュージックが隆起した日本の 00 年代、その終わりにリリースされた記録的な作品。
myspace
発売日: 2009.12.12
自主制作
価格: ¥500 (tax in)