2010年01月12日

cigarette in your bed 「dive e.p.」

cigarette in your bed 「dive e.p.」

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先月紹介した Pygmalion との合同レコ発パーティーを成功に収めたシューゲイズ・バンド、 cigarette in your bed の最新 e.p。

アコースティックギターとバックグラウンド・ノイズの絡みが印象的な楽曲からこの e.p. はスタートする。僅か一分半のトラックではあるが、シンプルな構成の中に彼らの武器である儚げなメロディ、途方に暮れる感情を表現したような混沌が充満しており、 e.p. の幕開けに相応しい intro 的な楽曲である。そしてこの楽曲のタイトルは「teenage is dead」。これ程までに痛快で残酷なタイトルが他にあるだろうか?シューゲイザーというジャンルは残酷な描写で耽美な風景を映し出すジャンルなのだが、その思想をタイトルのみでここまで端的に表現されてしまうと、そのセンスに驚きを隠し得ない。

正確なビートを淡々と刻む冒頭のドラムが印象的な「dive to white」、優しい歌声のレイヤーが美しい「muff song」など、 90 年代の洋楽のエッセンスがあらゆる形で随所に表出していながらも、断片的にトレース可能な「water」の日本語詞など、日本産バンドとしてのアイデンティティを彼らはしっかりを備えている。また、どの楽曲においても緻密に設計された音響的なミックスは、とても美しい俯瞰的景色を表現しており、また世界観も隅々まで完璧に統一されている。そこから垣間見えるのは、音楽表現に対するバンドのストイックな姿勢である。

形式だけでなく中身の伴った、本当の意味でのオルタナティブ・ミュージックが隆起した日本の 00 年代、その終わりにリリースされた記録的な作品。

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発売日: 2009.12.12
自主制作
価格: ¥500 (tax in)
posted by puri at 18:17| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Pygmalion 「Heaven's ep」

Pygmalion 「Heaven's ep」

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4 ピースバンド Pygmalion によるこの 3 曲入り e.p. には、セルフタイトルが冠されていることからも分かるように、彼らの本質そのものが見事に充填されている。ポスト・ロック、シューゲイザー、アンビエントなど、 90 年代以降のオルタナティブな音楽要素を巧みなセンスで吸収し、音の要塞と表現し得る程までに整合された楽曲の構成は目を見張るものがある。繊細な演奏によりアウトプットされる音のひとつひとつは完全無菌室のように真白で無垢な状態のままステージから放たれ、故にギターのディストーションすらも暴力的かつ美しく演出されている。またディレイやリバーブなどのエフェクトに彩られたトラックは非常に空間的で壮大である。シューゲイザーの影響により表現された幾重にも重なる音やボーカルの儚げなレイヤーは、耽美な音像を見事に描き出す。静かなサウンドスケープから少しずつリスナーを巻き込み、徐々にテンションを高めていった挙句、頂点で緊張感は限界点を超える。そしてその緊張感、プレッシャーの直後に訪れる大々的な開放には手に汗を握らされてしまう。楽曲の持つクールなイメージとは裏腹に、サウンドの構築はとにかく熱い。

彼らの持つ凄まじい緊張感が故に、#3「ストーム・イン・ヘブン」のようにボーカルをフィーチャーした楽曲においても演奏から気を逸らす隙が無い。音の霧の中をいきなり飛び出してくるようなハッキリとしたメロディ、それを耳で追いかけることは出来るが、しかし次の瞬間には一体何が巻き起こるのか分からない緊張感、あるいは不穏感。また、予測不能なものに対して自然に抱いてしまう探究的好奇心と少しの恐怖感。彼らはこの 3 曲のみで、リスナーを自由自在にマインドコントロールすることが出来る、非常に技巧的で実力派なバンドである。生々しく、かつ幻想的な雰囲気を纏った Pygmalion の意欲作である。

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発売日: 2009.12.12
自主制作
価格: ¥500 (tax in)
posted by puri at 18:03| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

die!!die!!color!!! 「PHOTONOISE」

die!!die!!color!!! 「PHOTONOISE」

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デジタル・ハードコアユニット「die!!die!!color!!!」がドロップした 8 曲入りのニュー・アルバム登場!

鋭く連射されるキック。ひたすら裏を攻め続けて激アッパーな、かつ楽曲ごとに多種多様な表情を見せるブレイクビーツ。これだけでも既にダンサブルで熱い仕上がりなんですが、そこに更に加わるノイジーなギターリフが絶妙にトラックにフィット。バンド全体の音圧をあげているのはもちろん、ビートの持つ暴力性やカオティックな要素を一際引き上げています。その上を暴れまわる男女混合ボーカルはスクリーム & シャウトしまくり。ボーカルのスイッチするタイミングもハイテンポで絶妙に気持ち良いです。いや、かと思いきやですよ、ソフトなキーボードのフレーズが特に印象的で、むしろ優しい感触すら覚える #5 「Nu-kegara」では一転、メランコリックなメロディーが大々的にフィーチャーされていて、時折入ってくるシャウトとの相乗効果でインパクトのあるコントラストを作り上げています。更にその次に収録されている #6 「Ride on track, Need your fuck」では冒頭から高速ブラストビートが炸裂、そのまま終わりまで突っ切っていく圧倒的な疾走感があったりと、とにかくレパートリーの幅が広い!デジタル・ハードコアファンのみならず、ジャングルやブレイクビーツ、ハウス、ヒップホップ、ハードコアパンク、カオティックなどあらゆるジャンルのリスナーにも受け入れられる要素がアルバムの至る所に散りばめられています。デジタルと人間の真っ向勝負を目の当たりにしているような、そしてその結果起こる相互の化学反応を見せつけられているような、攻撃的かつしてやられたり!なアルバムです。

終盤に収録されている Marlee、 M-Project 両氏によるリミックスも激ファット!全く隙のない最強のアルバムがここに完成です!

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発売日: 2009.10.11
レーベル名: MOB SQUAD TOKYO
品番: MSTCD003
価格: ¥1,200 (tax in)
posted by puri at 18:00| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月02日

Indus&Rocks 「Hidaripokenicca」

Indus&Rocks 「Hidaripokenicca」

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祝・Indus&Rocksデビュー・ミニ・アルバム リリース!!

2008年2月にVo/G 黒澤次郎による自主レーベル「pokenicca sounds」よりリリースされた同名ミニ・アルバム「Hidaripokenicca」収録曲のうちの5曲、同じく2009年6月リリースのシングル「暮れ/foggyの壁」より表題曲「Foggyの壁」を再録した、文句のつけようの無い堂々のミニ・アルバム。

たった3人で魅せる様々なサウンドのテクスチャーは本当に3ピースかと思う程に多種多様で変幻自在。楽曲ごとに違う表情を見せるアンサンブルに共通しているのは、全てのエレメンツが肉体的に機能しているという事。説得力のある一つ一つの音はリスナーに能動的に働きかける。その音の説得力、圧倒力たるや半端じゃない。鳴らされる音の全てに必然性が備わっており、一つも取りこぼすことができない。それは彼らの楽曲が単純に「ダンスミュージックのダブ的解釈」であるのではなく、人生観や思想等を音楽に取り入れる事によって得た必然の表現である事に裏付けされている。つまり彼らの音楽は彼らのライフスタイルそのものなのだ。だからこそリスナーに届く。だからこそ音は雄弁に語る。だからこそ僕らは踊る。3人のジャムセッションから零れ落ちる偶然性により生まれる、計算では到達し得ない奇跡のフレーズの組み合わせは人生の歓びを謳歌する。

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F-U / A.O.W 「F-U vs A.O.W」

F-U / A.O.W 「F-U vs A.O.W」

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キノトどころか日本が誇ると言っても過言ではない激HxCな2バンド、「F-U」と「A.O.W」の激ガチンコスプリット! 期待のレーベル weed which grows からのリリースです!これがとんでもなく熱い!
先陣を切るのは超タイト過ぎて最早壁みたいなリズム隊、ツボ刺激しまくりのギターサウンドにネイティブな英詞をシャウトしまくりのキレキレヴォーカルが乗っかってくる「F-U」。まず挨拶代わりのショートチューン3曲をマシンガン発射。次々とリスナーをぶちのめしていく爽快っぷりは被害者ながらリスナー冥利に尽きるところ。速いBMPだけでなくアップリフティングなギターリフや曲展開など、あらゆる音楽的要素をモノにしていく雑食性も注目すべきところ。またどこかしらアイロニーを臭わせるソングタイトルも痛快で気持ちいいです。
続く「A.O.W」は11分半の1トラックを収録。ライブをそのままパッケージングしたような荒々しさ・空気感。彼らの場合はもちろん音もそうですが、空気感に触れただけでも一瞬で A.O.W が鳴っていると解る程の独自のオーラを持っていて、しかも今回のスプリットではその空気感がそのまま収録されています。凄まじい生々しさを持った音と声がスピーカーから飛び出して来た瞬間に思わずガッツポーズ。この感触は他のバンドでは絶対あり得ないです。
彼ら 2 バンドを知らない人も一瞬で彼らの魅力を思い知らされる名盤!頭ぶん殴られろ!

F-U:
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A.O.W:
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2009年10月04日

THE 抱きしめるズ 「脳内デート」

THE 抱きしめるズ 「脳内デート」

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満を持してのリリースと言うべきか! 4 ピース激性急パンクバンド THE 抱きしめるズのファースト・フル・アルバムが全国発売です!
アルバムの幕開けを飾るナンバー「コロンバイン」の冒頭から Vo. 渡辺君の叫ぶ青春まっただ中感満載の歌詞がフライング気味に暴発!続くナンバー、ビデオ・クリップも制作されたリードトラック「東京震災」で既にテンション 250% に到達、このままアルバムの終盤までどうなるかと思ったらそのままのテンションでブッ走って行きました。しかしラストを飾る「真夏の絶対領域」はこのアルバム唯一のスローナンバー。メロディとコードの選択センスが一際際立ち、歌詞も聴き手に沁み込んでくるような感触が彼らのもう一つの持ち味。それまでの血管切れんばかりのテンションとの相乗効果で、聞き終わった後の爽快な後味を残してくれます。
ファースト・アルバムならではの初期衝動がそこらかしこに詰まりまくった爆発的な名盤!これからの彼らに向けられた期待がどれだけ高いのかは、タワレコのウィークリーインディーズチャートの第 5 位に輝いたその事実が何より物語っています。

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発売日 : 2009.9.16
レーベル名 : redrec/sputniklab inc.
品番 : RCSP-0015
価格 : \1,890(tax in)
posted by puri at 20:17| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Seth 「イツノ日カ殺人兵器ノナイ丸イ世界ニナリマスヨウニ」

Seth 「イツノ日カ殺人兵器ノナイ丸イ世界ニナリマスヨウニ」

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鋭利さが半端じゃない。リズム・メロディ・リリックの全てが究極に研ぎ澄まされ、ブレの無い意味を持って鳴っている。過去の音源からの再録楽曲も殺傷力が倍増している。そしてそれぞれの要素が単独でも充分に他を圧倒する力を持っていながら、共通の時間軸で鳴らされることで始めて確固たるアイデンティティを手に入れている。彼らの哲学において、全ての要素のうちどの一つが欠けても完璧な表現に到達し得ないからである。彼らの目指す表現とは「強靭な演奏」の向こう側にあるメッセージ性である。ただ演奏が巧いだけではない。ただリリックが衝撃的なだけではない。それらの要素が渾然一体となり、とんでもない噛み合わせを見せた時の高揚感は他に例えようが無い。鋭い演奏と生々しいリリックが交わった瞬間にこそ Seth の本質が見えて来る。彼ら 3 人はその凶暴な本質を以てして世界を丸ごと変えようとしている。

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発売日 : 2009.10.1
レーベル名 : Weed Which Grows
価格 : \1,500(tax in)
posted by puri at 20:14| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月03日

December 「a tower and the queen」

December 「a tower and the queen」

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耽美な空間に訪れる突然の轟音。しかしその轟音は極めて静かに鳴らされる。例えて言うのであれば、怒りを通り越してこみ上げて来る笑い。台風の目。感情のオーバーフローを通過した後の虚無感。豪雨の夜に窓を閉め切った部屋で一人佇んでいるような光景。混沌の中にいるのに、血液の流れや呼吸のリズムの変化といった微細な事象もはっきりと捉えられる状態。

December のサウンドは繊細であるが故に大胆であり、冷徹であるが故に優しい。美しく気高いギターの旋律に乗って届けられるのは、沸々と沸き上がって来るルードな感情の塊である。究極のプラスは究極のマイナスである、という言い方は少し乱暴過ぎる気もするが、ある限界を突破したものは真逆の属性を見せることがある。ラストナンバー「yesterday」の中盤に挿入されている無音に、尋常ではない感情の揺さぶりを覚えたのは私一人ではないはずだ。そして限界を超えたものを表現する発信者はとてつもない説得力を以て受信者を圧倒する。 40 分にも渡る壮絶な世界観を既に手中に収めたファースト・ミニ・アルバム。

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発売日 : 2009.8.4
レーベル名 : aurora oval records
品番 : AORD-001
価格 : \1,000(tax in)
posted by puri at 16:16| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Teenagers Bloody KillinG 「love/purple/kanaria」

Teenagers Bloody KillinG 「love/purple/kanaria」

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前回のリリース作品「Into your skin E.P.」からメンバーチェンジを経て制作された 5 曲入りミニ・アルバム。録音エンジニアを担当したのは、過去に名立たるアーティスト達の録音に携わっている藤井辰好氏によるもの。

ディスクを再生した瞬間に全ての音のはっきりとした感触に出会い、藤井氏の巧みなエンジニアリングがバンドの世界観を多いに増幅させているということがよく解る。しかしクリアに冴え渡りまくるハイ・ハットワークやベースラインは明らかにメンバーのプレイヤビリティの成長によるものである。スペイシーにフレーズを奏で、完全に楽曲の核となっているギターの音色は一瞬耳に入っただけで 「TBKG の音が鳴っている」とリスナーに自覚させ得るオリジナリティを獲得している。不穏な、あるいは無機質に吐き捨てられているようなボーカルは一層の生々しさを纏いながら、ヘッドフォンを通じて直接脳へ侵入してくるかの如く迫り来る。前回の e.p. と比べ 4 人が 4 様の目覚ましい成長を遂げており、生々しさを全く損なわずパッケージングした記録的なアルバムである。

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発売日 : 2009.8.5
自主制作
価格 : \500(tax in)
posted by puri at 16:08| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月04日

ナナカマド 「虹色」

ナナカマド 「虹色」

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2006年よりソロ・アーティストとして活動し、キノトを含め渋谷を中心にライブを展開していたfuko率いる新生ユニット、ナナカマドによるファースト・アルバム。アコースティックギターのカッティングが巻き起こした爽やかな風に乗せて紡がれるボーカルがリスナーの手を取り、空に漂う花びらのように鮮やかに舞う。この風がどこへ向かっているのかは解らないが、目的地など知らなくともこの風に乗っていれば素晴らしい場所まで必ず連れて行ってくれる。風に乗ってどこかへ向かっていること自体が心地良い。鮮やかに変化していく周囲の光景、山や海を飛び回りながら澄んだ空気のありがたさに気づく。「虹色」を聴いて目に浮かんでくるのはこのような素晴らしい光景である。

キラキラと輝く収録曲はどの一瞬においても感情や温もりで溢れている。喧騒や軋轢の中で忘れてしまいがちになるが、我々の暮らしている日常には大小様々な感動や希望が散りばめられている。しかし今の自分を見つめ直してみると、近く存在している筈の感動の大多数を見落としていたり、感動を与えてくれる物への感謝を忘れていたりはしないだろうか。ナナカマドはその感動のひとつひとつを拾い集め音として表現し、リスナーに優しく届けてくれる。我々の日常を鮮やかに、有意義なものへと変えてくれる。このような作品に出会えるのだから、やはり音楽というのは素晴らしいものである。

Myspace

発売日 : 2009.2.28
レーベル名: nanakamado records
価格 : \1000(tax in)
posted by puri at 22:18| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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