2011年04月20日

YOU NAAT KHAT 「madrigal stage e.p.」

YOU NAAT KHAT 「madrigal stage e.p.」

 昨年8月に結成されたばかりの5ピースバンド、YOU NAAT KHATによるファースト・デモ音源。

 リバーブがかったボーカルと空間的に交差するギターが印象深く響く。ゆっくりと進んでいく安定したリズムの中を次々と音が出現していく様にすぐ意識を持って行かれてしまう。脳の覚醒をゆっくりと促すような単音フレーズや、じっと聴いていたくなるような美しいコードの重なり、そして不穏な空気感を放ちながら楽曲の礎を固いものにしているベースライン。リスナーにじっくりと聴かせる味わい深いフレーズを連発しながらアンサンブルはゆったりと進んでいく。90年代のオルタナティブ・ロックのエッセンスを取り入れたシューゲイズサウンド、そこに漂うどことない閉塞感や諦観の境地など、リアルな感情のブレを映し出すサウンドや楽曲感を踏襲しながらも、開けたメロディが耽美で壮大な世界観を楽曲にもたらす。地に足の着いたその歌唱力は既に圧倒的な存在感を放っており、滑らかな曲線を描きながら華やかで寂しげに響き渡る。

 とにかくこの5人のアンサンブルが美しい。珠玉のメロディやコード感が楽曲の至る所に散見されて、打楽器であるドラムスからすらも、リズムの向こうに綺麗なメロディが見えてくる程である。5つのサウンドが一切の無駄を排除し、ひたすらに美しさに向かって重なりを深めていくからこそ表現できる表現世界であり、既に完成された世界観がそこにある。それぞれにキャリアを積んでいるメンバーが集結したとはいえ、結成一年目にしてここまでの完成度を誇るのは驚くべきことである。

 今後の期待がますます高まる、最初の音源として極めて完成された一枚。この世界観は今後まだまだ広がりを見せてくれるはずである。

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発売日: 2011.2.10
自主制作
価格: ¥300 (tax in)
posted by puri at 15:29| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

the mornings 「SAVE THE MORNINGS」

the mornings 「SAVE THE MORNINGS」

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 激奇天烈でカオティックかつディスコーダント過ぎる楽曲っていうかエネルギーの塊みたいなのを放出しまくる4ピース・バンドthe mornings。CD帯にも書いてある通り結成8年目にして待望のファースト・フル・アルバムをリリース!

 アルバム全体を通して貫かれる変速ビートや痙攣そのものをサウンドで体現したかのようにビキビキ軋みまくるギター・フレーズ。小節を無視してはみ出しまくっているそのサウンドは既存のカテゴライズからも堂々とはみ出しており、確かにニュー・ウェーブやポスト・ハードコアを彷彿とさせる楽曲の構築力や90年代半ば頃の初期オルタナティブのようなドライでシニカルな空気感がそこらかしこに充満している楽曲群ではありますが、そこでただクールに終わってしまうのではなく、独自のサブカル感や密閉感の高い(しかし確実に外向きな)ナード感を爆発させているところが彼ららしい一面ではないかと思います。とにかく一曲に詰め込まれている情報量が半端ない。言葉で形容するのがもったいないサウンドなので是非お買い求め頂いてガッツリと聴き込んで頂きたい一枚。また今回迎えたゲスト勢の豪華さにも要注目。シャムキャッツ・thai kick murph、ARTLESS NOTE、ロレッタセコハン、SuiseiNoboAz、LAGITAGIDAなどなど幅広いゲスト陣のクレジットを見ていると、如何に彼らが各方面からのリスペクトを受けているかがよく分かります。

 激アップリフティングな「amazon surf」、スリリング変拍子がジワジワ沸点ににじり寄ってくる「マッドダンサー」ももちろん収録!Wiennersやtacobondsなどのカオティック・アンサンブル好きにはこれ以上なくバッチリハマるであろう珠玉の一枚であります!

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発売日: 2011/1/19
レーベル: TAKE A SHOWER RECORDS
品番: TASR-01
価格: ¥1,890 (tax in)
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悲岸 「メアリー / タイヨウトツキ」

悲岸 「メアリー / タイヨウトツキ」

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 ゆったりと進んでいくのに不穏な雰囲気を撒き散らす三拍子が印象的な「メアリー」。流れるようなサウンドの中に漂う悲壮感、一つ一つの音が生々しく鳴り響く緊張感は進んで行くに連れて存在を主張していく。コーラス部分のスリリングなリズムや刺すように切り込まれていくエッジの聴いたギターカッティングはリスナーの鼓膜をグサグサに刺していく。

 優しく滑りこんでくる「タイヨウトツキ」は、曲が展開していくにつれてアンサンブルは攻撃性を増しながらゆっくりと耳を浸食していく。それに比例するようにアルペジオの輝きは一層増していき、煌めくサウンドの向こう側には彼らの提示する温もりや優しさが垣間見える。心臓の鼓動のようにゆっくりと、しかし確実に刻まれるリズムはシンプルでありながらも印象的だ。

 浮かんでは消えていく音の軌跡が目に見える程、空間が透き通っている。透き通っているからこそ普段は息を潜めている、しかし実はこの世界のどこにでも潜んでいる黒く深い闇がここでは良く見える。悲痛な心の痛みを体現する二つの声と、その痛みを何とか受け止めて背負っていこうとする日本語のリリックとが重なった瞬間に発生するエネルギーは、この日常にだだっ広く蔓延んだ悲壮感を何とかして打ち破る為の一縷の望みだ。暗闇の中で必死に光を掴み取る為に、装飾に塗れた飛沫の夢を作り上げて闇から目を背けるのではなく、寧ろ彼らは闇以上に残酷でリアルなサウンドを用いて闇に拮抗していくという手段を選んだ。

 都内を中心に活動を続けるツイン・ボーカル4ピース・バンド "悲岸 (ひがん)" による初のシングル。

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発売日: 2011.1.29
自主制作
価格: ¥500 (tax in)
posted by puri at 15:14| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月10日

NON'SHEEP 「落下/サメナイユメ」

NON'SHEEP 「落下/サメナイユメ」

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 都内を中心に活動中の3ピースバンド、NON'SHEEPによるライブ会場限定で販売される2曲入りシングル。

 輪郭の際立つフレーズとサウンドの感触が印象的なギター・フレーズ、また幻想的なシンセサイザーのサウンドから幕を開ける一曲目「落下」。それぞれのパートの音が輝き交差する様は美しくありながらどこか悲しくもある。丸みのあるグルーブを奏でながらもタイトなドラムス、一音一音を噛み締めるよう丁寧に鳴らされるベースのリズム隊の上を流れていくメロディがとても滑らかに耳の中へ飛び込んでくる。一見すると暖かいサウンドを形容しているようにも見えるが、実際に楽曲内に流れる空気感はどこかクールな印象であり、刹那的な感情が楽曲の至る所で見え隠れするが、根底にかすかに流れる寂寞感がとても印象に残る。かと思えば曲の中盤で飛び出してくるギター・ソロは、冷たい空気の切れ目から溢れ出てくる熱気のように突然我々の不意をついてくる。この静と動のバランスがとても心地良いのだ。
二曲目に収録されている「サメナイユメ」では一転して広がりのある音像からスタートする。裏で入ってくるハイ・ハットの音色やキャッチーなメロディ、それと絡み合うようなラインが冴え渡るギターのフレーズがとてもポップに響き渡る。しかしはっきりと歌いあげられる日本語歌詞は非常に哲学的で儚いメッセージ性を保有している。ポップなサウンドに乗せられてこのリリックが飛び込んでくるのがとても衝撃的で、そのお蔭でリリックに込められたメッセージはよりリスナーに伝達されていく。

 静と動、ポップネスとダークネスという相反する要素を同時に吸収し、そしてアウトプットする。そもそも感情というものは単一の性質で構成されているものではなく、様々な思いが混ざり合った塊として存在するものである。彼らはロックというツールを用いて人間の感情のリアルな揺れ動き、生々しい息遣いを表現することに成功している。

 2曲とは言え彼らの表現のあらゆる引き出しが詰め込まれたシングル。ライブ会場限定販売なので彼らのライブのダイナミクスと音源の完成度の両方を体験してもらいたい。

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発売日: 2011.1.16
価格: \500 (tax in)
posted by puri at 18:42| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ジャズネコ 「Confusion The Live」

ジャズネコ 「Confusion The Live」

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 去年11月のPARABOLAでも表題曲のビデオ・クリップを放映した3曲入りマキシ・シングル「Confusion The Live」。ここに込められた三曲は全て「凶暴な芸術」という肩書きの裏に実は隠れているロックの優しさを代弁している。

 最初の一秒から振り切れたテンションで幕を開ける表題曲、無駄な装飾などを使わずに等身大のサウンドで精一杯を出し切る彼ららしさがそこに既に現れる。武骨で太いドラムスとベースのソリッドなサウンドが滑らかでグルーヴィーなビートをうねるように紡ぎ出す。そこに絡まるギターの美しいアルペジオは繊細でありながらも自らを主張するよう力強く響き、リズム隊のグルーブと相まって緊張感の溢れる空間を作り上げる。複雑なコードや演奏テクニック、はたまた派手な曲構成がある訳ではない。ただひたすらに素晴らしい唄とストレートなサウンドがあるだけ。そのアンサンブルは不器用でありながらも、とても美しい。その美しさは彼らが余計な装飾など抜きに音だけで真っ向勝負をしていくという意気込みと、それの思いが込められたサウンドの一音一音にとてつもない重みがあるというところから来ている。彼らの楽曲では音だけでなく感情が鳴っているのが聴こえてくる。自らの音楽に自信がないとここまでストレートに響かない。自らに自信がないときっと装飾に逃げてしまう。しかし彼らは自らにそれを決して許さない。だからこそ彼らのロックにはブレがないのだ。破壊することや感情をステージで暴力的に発露させることだけがロックではない。彼らは優しい歌をも誰よりもロックとして鳴らしている、紛れもないロック・バンドだと改めて思い知らされた。

 今年2010年もMINAMI WHEELや渋谷CLUB QUATTROで演奏をブチかまし、若手ロック・バンドたちをビビらせ続けてきた彼ら。2011年の更なる活躍に期待は高まるばかりである。

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発売日: 2010.8.25
レーベル: pojjo record
品番: OPCD-7101
価格: ¥1,200 (tax in)
posted by puri at 18:36| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

about tess 「Song of the bird」

about tess 「Song of the bird」

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 ツイン・ギター、ツイン・ベース、ツイン・ドラムスの計6人を擁する特異なラインナップで構成されるabout tess。11月17日にリリースされた彼らのサード・アルバム。しかし収録曲はCDの限界収容分数である74分に渡る1つの楽曲のみ。音楽を以てしてまさに人間の聴力の限界に挑んでいる化け物のようなアルバムである。

 彼らの演奏技術のクオリティについては最早ここで言うまでもないことだが、それでもここまで凄まじいと触れられずにはいられなくなってしまう。クリアでシャープに響き渡るドラムスのフレーズは小気味よく空間をスパッと切断する。その音には全くの淀みが無い。ベース・ラインが楽曲のボトムを根気よく繋ぎ止めることで楽曲の舵は失われず、かつサウンドの厚みを持たせるのに一役買っている。楽曲内で縦横無尽に暴れ狂うギターは時に高速にメロディを刻み、時にぼんやりとした夢のような空間を体現する。荒れ狂う嵐のような音像や静かな湖面のような音像をいとも簡単に創り上げる。

 先程も書いた通りこのアルバムは74分に渡る壮大な一曲のみを収録している。これはジャム・セッションではなく、きっちりと74分の展開を緻密にアレンジした結果の楽曲である。リズム・パターンは変わらずにギターのフレーズのみが変化していったり、かと思いきやいつの間にかリズムが変わっていたり、と少しずつの変容を繰り返していく展開は、同一フレーズをリピートしていく先に見えてくる快楽、そしてフレーズが少しずつ蠢いていく興奮を同時に取り入れながら、その先に待っている怒涛の展開へと突入していく。幾度と無く挿入される場面転換、しかしそれでも紛れもなく74分全体が「一曲」として響いているのは音像が変わっても緊張感や世界観が共有されているからで、その根底に存在する強靭な精神力にはただ驚かされるばかりである。

 74分間、気まぐれ一切なし。全てに意味がある。聴いた後の気持ち良い疲労感、そして爽やかな後味は此処でしか味わえない。是非この感覚を、そしてこのサウンドの迫力を74分間続けて体感して頂きたい。

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発売日: 2010.11.17
レーベル名: Virgin Babylon Records
品番: DDCZ-1719 (VBR-002)
価格: ¥2,000 (tax in)
posted by puri at 18:30| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

MEANING 「BRAVE NEW WORLD」

MEANING 「BRAVE NEW WORLD」

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 2004年、ex. キノト / TaU KITCHEN スタッフにより結成。2008〜2009年にBa. mami脱退後YUICHIが加入、その後ライブの圧倒的な完成度により知名度を勢い良く広げて行き、ついにファースト・フル・アルバムをPIZZA OF DEATHよりリリースした5ピース・バンド、MEANING!祝・11/17付オリコンデイリーチャート48位!

 Introの優しげなアルペジオから一転して激重なスネアが鳴り響く序盤。そのリスナーを巻き込むトラップのようなギミックは彼らならではのシニシズムの象徴のよう。3本のギターによるカッティングや単音フレーズのレイヤーの分厚さは流石。MEANINGの楽曲をMEANINGたらしめている重要な要素として鳴り響く。それに埋もれないばかりか、楽曲のコアとして圧倒的な存在感を放っているドラムスは手数・重厚感ともに群を抜いています。リズムの緩急・楽曲の静と動を巧みに操り、それぞれの楽器隊をしっかり繋ぎ止めつつも、轟音の中にしっかりとコード感を紡ぎ出すベース・ライン。全てのパートが一ミリのズレも生じさせず正確なリズムを刻み、音を重ね、時にメロディアスなフレーズを挟みながらも周囲を吹き飛ばす程の轟音を叩き出す。極めつけにVo. HAYATOによる激野太いシャウトがリスナーに止めを刺す。小節いっぱいに詰め込まれたネイティブな英詞がバシバシ決まっていくバイオレントな爽快感にはカリスマ性を感じられるし、その気迫は空気までもソリッドに変えてしまう。ハードコア・メタル・パンクの要素をぶち壊して混ぜ合わせるだけでなく、そこに自分たちのバンド・スピリットを注入し、血が今にも吹き飛ぶようなここまで熱いサウンドを創り上げた彼ら。日々のリハーサルや数々のライブをストイックに重ねた末に掴み取った彼らのロジックに裏付けされた、知識や言葉で説明出来うる説明の範疇を越えたサウンドのクオリティ。今まで流した血と汗の結晶で出来ているからこそここまでの傑作を創り上げたのです。日本中のミュージック・ファンはもちろん全バンドマンにも聴いて欲しい一枚。これこそがバンドのあるべき姿です。

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発売日: 2010.11.17
レーベル名: PIZZA OF DEATH RECORDS
品番: PZCA-49
価格: ¥2,300 (tax in)
posted by puri at 18:26| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

MEANING 「BRAVE NEW WORLD」

MEANING 「BRAVE NEW WORLD」

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 2004年、ex. キノト / TaU KITCHEN スタッフにより結成。2008〜2009年にBa. mami脱退後YUICHIが加入、その後ライブの圧倒的な完成度により知名度を勢い良く広げて行き、ついにファースト・フル・アルバムをPIZZA OF DEATHよりリリースした5ピース・バンド、MEANING!祝・11/17付オリコンデイリーチャート48位!

 Introの優しげなアルペジオから一転して激重なスネアが鳴り響く序盤。そのリスナーを巻き込むトラップのようなギミックは彼らならではのシニシズムの象徴のよう。3本のギターによるカッティングや単音フレーズのレイヤーの分厚さは流石。MEANINGの楽曲をMEANINGたらしめている重要な要素として鳴り響く。それに埋もれないばかりか、楽曲のコアとして圧倒的な存在感を放っているドラムスは手数・重厚感ともに群を抜いています。リズムの緩急・楽曲の静と動を巧みに操り、それぞれの楽器隊をしっかり繋ぎ止めつつも、轟音の中にしっかりとコード感を紡ぎ出すベース・ライン。全てのパートが一ミリのズレも生じさせず正確なリズムを刻み、音を重ね、時にメロディアスなフレーズを挟みながらも周囲を吹き飛ばす程の轟音を叩き出す。極めつけにVo. HAYATOによる激野太いシャウトがリスナーに止めを刺す。小節いっぱいに詰め込まれたネイティブな英詞がバシバシ決まっていくバイオレントな爽快感にはカリスマ性を感じられるし、その気迫は空気までもソリッドに変えてしまう。ハードコア・メタル・パンクの要素をぶち壊して混ぜ合わせるだけでなく、そこに自分たちのバンド・スピリットを注入し、血が今にも吹き飛ぶようなここまで熱いサウンドを創り上げた彼ら。日々のリハーサルや数々のライブをストイックに重ねた末に掴み取った彼らのロジックに裏付けされた、知識や言葉で説明出来うる説明の範疇を越えたサウンドのクオリティ。今まで流した血と汗の結晶で出来ているからこそここまでの傑作を創り上げたのです。日本中のミュージック・ファンはもちろん全バンドマンにも聴いて欲しい一枚。これこそがバンドのあるべき姿です。

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発売日: 2010.11.17
レーベル名: PIZZA OF DEATH RECORDS
品番: PZCA-49
価格: ¥2,300 (tax in)
posted by puri at 18:25| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

THE SENSATIONS 「THE SENSATIONS」

THE SENSATIONS 「THE SENSATIONS」

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 続いてもI HATE SMOKE RECORDSよりドロップのニュー・アルバム!Ba.にWiennersからBALL氏が加入しますます精力的に活動を展開している5ピース・スカ・パンク・バンド、THE SENSATIONSのセルフ・タイトル・アルバムです!

 アルバム全体を通して全く勢いの落ちないテンションは寧ろ後半に向かうに連れてどんどんメーターが振り切れていくようで、ライブのあの興奮感・空気感が見事そのままパッケージされています。激速ショートチューンの連続が格ゲーのコンボ的にガツンガツン決まっていくこの気持ち良さはやはり彼らの最大の武器であり、しかしそのショートチューン一曲一曲の中には多彩な展開が相当な密度で詰め込まれている訳で、彼らのサウンドやフレーズの引き出しの多さにもまた驚かされる訳です。ポップでシンガロング必至なボーカル・メロディ、そこへコード感を加えてアンサンブルに広がりを持たせるギター、更にそこにサックスのスリリングでアップリフティングな音色が混ざることでバンド全体のユニゾン感やグルーブ感が半端無く倍増。三位一体ならぬ五味一体なこの一体感、そりゃ一度走り出したら道理で止まらない訳です。だから聴く側も一度再生ボタンを押したらもう最後まで止まらならなくなるし、やっぱりもっと聴きたくなるしライブも行きたくなるし。という意味でかなりの中毒性アリですこれ!

 無駄な説明を必要とせずとも、このアルバムに詰め込まれているサウンドが彼らが一体何たるかを全て物語ってくれているような気がします。だからこそのセルフ・タイトルなのではないかと。だから皆さん是非ゲットしてライブ会場に足を運んでください。彼らがどれほどまでに音楽を楽しんでやってるか感じてみてください。このアルバムを聴いたら改めて音楽が楽しくなりますよ。

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発売日: 2010.12.15
レーベル名: I HATE SMOKE RECORDS
品番: IHSR-022
価格: ¥1,890 (tax in)
posted by puri at 18:21| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

KiNGONS 「POP OF THE WORLD」

KiNGONS 「POP OF THE WORLD」

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 今年3月にキノトにて月間ピックアップした栃木の4ピース・バンドKiNGONSによる待望のファースト・フル・アルバム「POP OF THE WORLD」!去る11月24日にリリースされました。

 冒頭の「HAPPiNESS」が鳴った瞬間に思わず顔が緩んでしまうのは、初っ端からKiNGONSらしさが100%遺憾なく発揮されているから。彼らのサウンドはほんの数秒聴いただけで「KiNGONSだ」と分かる程独特の空気感に包まれていて、それがギターの音色によるものなのか録音方法によるものなのか、それとも何か別に要因があるのかは良く分かりません。もしかしたらその全部なのかも知れないし。でもここで重要なのはそんなことじゃなくて、KiNGONSの音が他の誰も鳴らせない音をしっかりと鳴らしているということの方が大事なんです。相変わらずのソリッドなビートに分厚いギターから吐き出されるコードがポップかつセンチメンタル。装飾のないストレートなボーカル・メロディは輝きを失うどころか以前より光を放っています。演奏も全体的に前回のミニ・アルバム「WONDERFUL GIRL」よりワンランク上のタイト感。楽曲のアレンジ・演奏共に着実にステップアップしている彼らの現在進行形な姿が良く分かる超名盤ではないでしょうか!

 しかしそれだけでは終わらないKiNGONS。最後の曲日本語歌ってるし!それに歌超良いし何あれ!アルバムの締めにそれを持ってくるキュートな側面もやっぱり変わってないし、それもKiNGONSを聴く上で重要な部分だと思うのです。いやはやお腹いっぱいにさせて頂きました。

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発売日: 2010.11.24
レーベル名: I HATE SMOKE RECORDS
品番: IHSR-020
価格: ¥1,890 (tax in)
posted by puri at 18:17| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月06日

halt 「stir」

halt 「stir」

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Gt、Drのメンバーチェンジによる約3ヶ月の活動休止後、7月11日の盟友fifi企画「WITH fes」にて待望の再始動を果たした4ピース・バンド、haltによる初の全国流通音源。

キャリアを着実に重ねた上で手中に収めた実力は前作 ”outa” からのスキルアップを明確なものとしており、以前より顕著であった繊細なギター・フレーズの絡み合い、一音一音が丁寧に響くドラムスの各フレーズ、しなやかなラインを紡ぎ上げて音のレイヤーを鮮やかに重ねるベースは、より強固なアンサンブルの中で鳴っている。更にその楽器隊の上を歌い上げるボーカルはサウンドのクールなテクスチャーを熱量に変換し、より楽曲をエモーショナルに仕上げる。語弊を恐れずに言えば、”タイト” と言うよりもそれぞれのパートの重なり方が一層 “クリア” になった印象のサウンドである。その作用はリスナーを音の一つ一つに集中させる。また無駄を一切削ぎ落したアンサンブルであるが故に、生まれる音と音の隙間に消えていく音の軌跡をはっきりと耳で追うことが出来る。その音の消え際の美しさは線香花火を彷彿とさせる程である。それは音が生まれてから消えゆくまでの全ての瞬間に、その存在意義を与えているからこそ表現出来る美しさであり、彼らがいかに自身達の創りあげているサウンドに対して自覚的であるかの象徴ではないだろうか。ディレイのかけられた空間的なサウンドは空気中を軽やかに舞い上がり、音像に三次元的な効果を与え、音像が立体的に現れる演出をそこに加える。しかしそれだけではなく、その音像が消えていく様までも美しいと思わせることの出来るバンドはそういないのではないだろうか。「木の葉を隠すなら森の中」という言葉があるが、彼らはその逆で、シンプルかつ空間を開かせたアンサンブルを奏でることで一つの音の存在感、躍動感を徹頭徹尾創りあげているのだろう。緻密に計算された引き算の上に成立している素晴らしいアンサンブルである。

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発売日: 2010.9.15
レーベル名: miura
品番: MIUR-001
価格: ¥1,260 (tax in)
posted by puri at 18:49| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

SHELTER 「そして君は微熱の中で」

SHELTER 「そして君は微熱の中で」

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鋭く乾いたシングルコイルのカッティング。さながら淡々と時を刻む秒針のように、どこか無機質に時間軸を滑っていくアルペジオ。内省的な感情を爆発させるかのように残酷に響き渡るディストーション。それらが持つ闇を増幅させるかのように轟くベース・ラインに、焦燥感をくっきりとそこに刻んで行くドラムのスリリングなフレーズ。聴く者の全ての末梢神経を刺激するかのようにジワジワと音は攻め立てる。低音と高音を巧みに使い分けるボーカルは不穏と冷徹を交互に演出し、決して攻撃の手を緩めない。2010年代のオルタナティブ・ギター・ロックならではの初期衝動がここには込められており、どこか荒削りさは残るものの、シンプルなサウンド・プロダクションや文学的な日本語詞に潜むストレートな感情表現など、この3曲入り音源には初期衝動ならではのピュアネスが充満している。しかしサウンドの感触は明らかに異質である。ささくれ立っているという表現よりは、割れたガラスの上を裸足で歩かされているような感覚、という表現の方が近い。それ程までにこのサウンドはリスナーの耳と心臓に刺さるのだ。
しかし、攻撃的なサウンドと完全に自分を中心化した世界観を歌い上げる#1、#2の後に収録されている表題曲「そして君は微熱の中で」は明らかにサウンドのアプローチが異なっている。ゆったりと進んで行く8ビートにどこか温もりすら感じるギターのセンチメンタルなアルペジオ。歌詞の中にも「君」という対象が登場し、二人称の視点で楽曲は進んで行く。それは彼らが初期衝動を通過した先に獲得した新たなアプローチなのだろう。弱冠二十歳前後の彼らが次なるステージに早くも到達したと言う宣言を高らかに込め、リアルの極限を描いた渾身のセカンド・デモである。

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発売日: 2010.8.9
自主制作
価格: ¥500 (tax in)
posted by puri at 18:40| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

八十八ヶ所巡礼 「八+八」

八十八ヶ所巡礼 「八+八」

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独特の曲展開、ブレイク・転調連発のオンパレード。一聴すると頭の中がハテナマークでいっぱいになるような、しかしそれでいてこの両耳を襲ってくる爽快感は一体何だ?プログレッシブ・ロックやニュー・ウェイブの流れを汲んだ、圧倒的な存在感を放つギター・サウンド。リズム・マシーンのように正確なビートを吐き出しつつ、しかし生音から生まれてくる ”肉体性“ を主張し続けているドラムス。ルートという概念を超え、ギターと双璧を成す程のリフ製造機と化しているベース。それらが一ミリのズレも生じさせずにユニゾンし、ブレイクし、時にバラバラになりまた一塊となる。曲展開は解体され、均一化されることを拒否する。さながらレコード盤の溝のようにリズムの凹凸は連続しているが、レコード盤のように規則性のある凹凸ではない。かと思えば、疾走感の凄まじい8ビートが貫かれ、直線的なビートが底からフロアをひっくり返してしまうような場面もある。まるでつい先程まで目の前に存在していた道が幻のように消え、その光景に狼狽している間に突然、とんでもない所にブラックホールが出現する程の奇天烈さである。この絶妙なバランス感覚、そしてリリックや曲名に明確に現れているボキャブラリー・センスは一体どのようにして生まれてくるのだろう?このサウンドは一体今後どこまで進化するのだろう?

既存曲の新録8曲、プラス新曲が8曲、故にアルバムタイトルは「八+八」、発売日も8月18日と、アルバムの細部にまでアーティストイズムを貫き通したコンセプトには完璧さを感じる程である。そして驚くべきことにこれは彼らのファースト・アルバムなのである。次作では一体何が起こると言うのか。

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発売日: 2010.8.18
レーベル名: Psychederic Progressive Revolution / YOUTH.inc.
品番: PPR-1004
価格: ¥2,000 (tax in)
posted by puri at 18:31| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

where is my mind? 「Mary」

where is my mind? 「Mary」

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先日7/24にキノトで行われたレコ発企画も大盛況のうちに終了、バンドとして着実な進化を遂げている4ピース・バンド“where is my mind?”。そのイベントより販売開始された彼らの最新7曲入り音源。
サウンドからどことなく漂ってくる悲壮感や索漠感。誰もが感じたことのある行き場を無くした感情達はどこへ向かうことも出来ず、やがて日常の煩雑なルーティンワークに飲み込まれて己の心の底に沈殿する。その沈殿とはその人の生きた証そのものであり、痛烈なまでのリアリティを伴っている。where is my mind?のサウンドが美しいと感じるのは、人間の生や本能へ対するリアリズムが楽曲でストレートに提示されているからであり、同時に”生きる”ということを肯定しているというところに重点がある。一見ネガティブに見えるリリックの数々は、実は”生”そのものを謳歌しているのではないか。「誰か早く見つけて」と他人と繋がりを求めること、「debase me」と残酷な言葉を伝える相手が存在しているということ、「僕らがもし出会わなければ誰かを愛する事を信じれた」という一節の後、「それでも出会った」ことを選択したということ。自ら命を絶つというヘヴィな題材を扱った「レダ」に登場する少女も、自らの意思で選択したという意味では最期まで生きていた。
我々は生きる上でいつでも岐路に立たされ、選択を迫られ、苦しんだ上で決断し時に後悔する。自暴的になる。論理の範疇外の行動を取ることがある。それこそが生のリアリティであり、時にとても歪な形をしている。where is my mind?はそのリアリティを修飾することなく、生々しさを保ったまま表現しているからこそ美しい。苦悩と格闘する様を痛烈に表現しているからこそ素晴らしい。だからこそサウンドに生命が宿り、美しい軌跡を描きながら音像を広めていく。純粋無垢なその音楽はリスナーと共振し、今後も更に広がりのある世界を見せてくれることであろう。

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発売日: 2010.7.24
自主制作
価格:¥1,000 (tax in)
posted by puri at 18:28| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月01日

My Hearts Breaking Even 「re:iris EP」

My Hearts Breaking Even 「re:iris EP」

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Gt, Ba, Dr, Vo/Gt, Vo/Piano の5人からなる新鋭ピアノ・エモ・ロックバンド、My Hearts Breaking Even。 度重なるライブや自主企画での経験を得て手にしたバンドの存在証明を、凄まじい勢いで形にした全国流通デビューシングル。

5人がまさしく “一体” となって叩き付けられるアンサンブルはまるで鉄壁のようである。野太くしっかりと存在感を表現しているベースラインと比類なきヘヴィネスを携えたドラムス。重厚なリズム隊の上に更なる音のレイヤーを重ねるように切り込まれて行くギターのカッティング。そのコード感を増幅させ、楽曲に柔軟性とストーリー性を吹き込むきらびやかなピアノサウンド。そしてそれらを一挙に纏め上げ、音のベクトルを揃えつつも自らの持つカリスマ性、ヒーロー性をふんだんに発揮しているヴォーカル。それぞれのパートが担っている役割は全く違う方向性であるが、各々の役割をしっかりと果たしている為に音の指向性は散漫にならず寧ろ同じ方向を向き、渾然一体となって前へ前へと突撃して行く。このドライブ感、グルーブ感というのは並大抵のバンドでは表現しきれない。彼らの特筆すべき点はそこである。この凄まじき威力の根源は「全てのパートが重なった瞬間の爆発力」にあるのではない。彼らの場合それぞれのパートが虹のように、どの曲のどの瞬間でも綺麗に重なっているからだ。つまり「爆発力の維持」こそが彼らのドライブ感の要因であり、楽曲中に緊張感が途切れる瞬間などほんの0.1秒すらも存在しない。全ての音に血液と感情がほとばしっている。これ程までに直情的、エモーショナルなサウンドが他にあるだろうか?

シングルということもあり収録曲は3曲のみであるが、その3曲に彼らの魅力が100%詰まっている。再生ボタンを押してから3曲を聴き終えるまでに、めくるめく曲展開、多面的なサウンド、衝撃的なまでのエモーションに度肝を抜かされるだろう。彼らのキャリア史上重要なターニングポイントになるであろう渾身の一作。心して耳を傾けるべきである。

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発売日: 2010.6.2
レーベル名: STAND UP THE HERO
品番:SUTH-1003
価格:¥1,000 (tax in)
posted by puri at 15:48| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月21日

Wienners 「CULT POP JAPAN」

Wienners 「CULT POP JAPAN」

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7月7日にリリース後も未だ勢いの止まらないWiennersの「CULT POP JAPAN」!キノトでのレコ発イベントも終了、既に全国を絶賛ツアー中の彼らですが、ここで愛と勢いのみで彼らのファースト・アルバムを改めてレビューです!

レビューするにあたって改めて彼らのアルバムを聴いてみるとやっぱり特殊です。既存のカテゴリーを全てぶち破って行くような楽曲の数々。アルバムの頭から最後まで一貫したポップネスは今までに存在しなかった全く新しいモノで、例えばWiennersを知らない人にWiennersを説明するのがとても難しい訳なんですね。「◯◯っぽい感じ」とかって言えない。で、彼らのポップネスを完全オリジナルたらしめている所以は何かというと。ガッツガツにキメられていく、もうソリッド過ぎる変拍子とブレイクと変調。一見これを読むと完璧カオティック・ハードコアみたいに見えますがしかしそうじゃない。そう、そのポップな部分とカオティックな部分の配合がもの凄く良いんです。というかこんなバランスでしっかりまとめあげているバンド彼らしか居ないんです。更にそれを計算高そうなところを全く見せずに簡単にやってのける。演奏バッキバキ、でもメロディはキラッキラ。いいとこ取りっていうと聞こえが悪いですが、彼らの楽曲にはいいところしかないのは事実です。しかもあり得ない密度で。だからこそハードコア好きにも響くし、ポップサウンドが好きな人にも響くし、変拍子が好きな人にも響くし、グッドメロディ大好きな人にも性急ビートが好きな人にもアンダーグラウンド好きにも...って挙げるともうキリがねえ!とにかく誰にでも響き渡る激グッド・チューン、グッド・アルバムを彼らは作ってくれました。これこそが真の意味での「ポップ」ですよ。

15曲入りで20分で駆け抜ける至福の時間を是非皆さんにも体験して欲しいです。キノトでも絶賛発売中の今アルバム、キノトオリジナルの特典もつきますので是非お買い求めくださいねー。

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発売日: 2010.7.7
レーベル名: TOY’S FACTORY
品番: WNSR-001
価格:¥1,800 (tax in)
posted by puri at 16:51| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月06日

Catalog of Personal Faults 「shapeshifter」

Catalog of Personal Faults 「shapeshifter」

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新世代カオティックロックバンド、若手の中でも群を抜く演奏力で定評のある Catalog of Personal Faults よりドロップされる4曲入りのデモ音源。

かつての隆盛期であった90年代後半、日本のオルタナティブロックシーンは急速に拡大した。ナンバーガールに代表されるようなロックとポストパンクの融合、それが持つ独特の乾いた空気感は実に発明的であり、当時のリスナーから圧倒的な支持を得た結果瞬く間に国内のロックミュージックのスタンダードの一つとなった。更に00年代を迎えるとロックは更なる雑食性を獲得し、ポストロックやマスロック、ニューウェイブリバイバルへとその音楽精神は継承されていくことになる。どの時代でもそうであると言えるかも知れないが、特に現在のロックシーンの発展模様は10年前では大凡予想のつかなかった動きを見せている。

Catalog of Personal Faultsのメンバーは人生で最も多感な時期をその10年の間に過ごしている。つまり彼らは上記の一連の流れを経て生み出された多様な音楽性を、化学変化としてではなくごく自然にビルトインしている新世代なのである。その彼らが叩きだす音の引き出しの振れ幅はとにかく凄まじい。メタリックなリフが鳴り響き、雪崩のようなドラムフレーズが溢れ出し、激情HCにも通じるシャウトが空間を切り裂くように痛みを伴って飛び出してきたかと思いきや、突然現れる幻想的なメロディラインやセンチメントを感じさせるコード感が切実に響き渡ったりする。下手するとくどくなってしまいかねないこの多ジャンル性が素晴らしいバランスで成り立っているのは、彼らの音楽性は彼ら自身にとって奇を衒ったものでなくストレートで自然な表現であるからで、我々がそこに驚いている限り彼らはこれからも予想外のサウンドを生み出し続けることだろう。

特に彼らの新たな境地である #3 「Marble」はバラード調の楽曲の中にも張り詰めた緊張感を感じさせる名曲である。

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発売日: 2010.7.16
自主制作
価格: ¥500 (tax in)
posted by puri at 22:52| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月20日

cinema staff 「Blue, under the imagination」

cinema staff 「Blue, under the imagination」

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若手ギターロックバンドの中でも演奏力、表現力、センスの全てが群を抜いていて、各メディアが揃って動向に注目している岐阜の4ピースバンド cinema staff。知名度・実力共に目を見張る成長を遂げている彼らからドロップされる LIVE CD・DVD付サード・ミニ・アルバム。

アルバムの中でも特に印象に残るのが、リードトラック「君になりたい」と「制裁は僕に下る」の2曲。アップテンポな楽曲を用いて躊躇することの無い暴発力体現するのを得意とする彼らだが、この2曲はいずれも突っ走るという印象よりはゆっくりと歩を進めて行くようなミドル〜スローテンポで展開して行く。爆発的なエナジーではなく、胸の内に秘めたブレの無い感情をゆっくりと燃やしているような腰の据えたサウンド。また音数を絞ったことにより、ひとつの音に込められている意味がより浮き彫りになり、必然的に音の隙間もはっきりと浮かび上がっている。その隙間から発せられるのはどこか狂気にも似た緊張感。今回のアルバムにおいて、彼らは連続した音ではなく、一つの音そのもの、更には音の隙間にまでも感情をブチ込めることに成功している。ここまで音に説得力を込められる程の実力を備えている彼らが未だに弱冠23歳であるという事実は、恐ろしいまでに驚きである。またキャッチーで印象に残りやすいボーカルラインと、アンダーグラウンドシーンとリンクしたエモ・ハードコア等の要素を違和感なく両立させるそのセンスにも脱帽である。いかに彼らが現行のオーバーグラウンド / アンダーグラウンドシーンの両方を俯瞰しているかが良く分かる。アルバム全体から感じられる確固たる自信、それは恐らく彼ら自身が今後のミュージックシーンを担うことに自覚的になっているからではないだろうか。そして間違いなく彼らにはその資格がある。

現在の国内ミュージックシーンを語る上で見逃すことの出来ない、まあ今後の彼らのキャリアにおいても重要な一枚になるであろう渾身の一作。

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発売日: 2010.7.7
レーベル名: 残響record
品番: ZNR-094
価格: ¥2,300 (tax in)
posted by puri at 06:16| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月02日

PSYCHO FOOD EATERS 「THIS IS "FUN" NOT COMICAL」

PSYCHO FOOD EATERS 「THIS IS "FUN" NOT COMICAL」

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キノトが全世界に誇る至高のパーティ・バンド、PSYCHO FOOD EATERSから待望の1stミニ・アルバムが!お馴染みロックなアパレル ROLLING CRADLE の起ち上げたレーベル CHEERS ROCK RECORDS からついにドロップ!! 8曲収録で収録時間は何と20分の激速アルバム!早え!
一貫して「パーティ」のスタンスを大切にしている彼ららしいイントロから幕が開き、そのままの流れでズザーっと怒涛の勢いでなだれ込む「Jailhouse Rock, Supreme」。そして更に乱射的に攻めまくる激速チューンの「THIS NEW FRIENDS」に息つく暇も無く突入!もうここまででほとんどのリスナーはヤラれることでしょう。だって彼らのサウンドに説明は一切不要だし、ていうかここまでだけでも彼らの良さが一発で分かるでしょう?サウンドに込められたこの爽快感は、テンポが速いっていうのももちろん、音源から漂ってくる「パーティの為なら何でもやるぜ!」的なガツガツ感から来てるんだと思います。んで彼らのそういうところがこの爆裂サウンドの肝になっているんだと思います。短いけどこんなにガツガツでハチャメチャでドタバタな最高の20分、他のバンドではそう体現出来ないと思いますよ。そしてだからこそ、最後に収録された「Please Come Back POCHOMKIN」の輝いてるボーカル・メロディとホーン・サウンドは、ハッピーでありつつもアルバムが終わってしまう寂しさも相まってどこかセンチメンタルに僕には響くのです。更にアルバムの最後に何だコレ?的な仕掛けもあって、本当に頭から爪先まで彼ららしい1stアルバム!ここまで楽しかったらもはやズルいです。

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発売日: 2010.6.16
レーベル名: CHEERS ROCK RECORDS
品番: RCXCR-0001
価格: ¥1,500 (tax in)
posted by puri at 19:57| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ヒーヒズヒムイズム 「少女A」

ヒーヒズヒムイズム 「少女A」

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ここキノトや三軒茶屋を中心に活動中の4ピースバンド、ヒーヒズヒムイズムが解き放ったファースト・アルバム。昭和歌謡やオールディーズからの影響をベースに、オルタナティブ・ロックやグランジ、シューゲイズなどの要素も放り込み、更にVo/G横溝鞠子の文学的かつニヒリスティックな歌詞、諦観の感情が覗き込む尖った歌声が全体をミステリアスにまとめあげている。迷いなくストレートに紡がれる感情や堂々としたサウンド、防御せず攻撃のみを繰り返すギターのフレーズは一貫して彼らのオリジナリティや表現テーマを一途に表現しており、しかしサウンドの指向性は実に多彩で、スリリングな展開を見せる「Kioku So Shitsu」や、スウィングするビートが心地良い「甘い蜜」、硬質な四つ打ちビートから広がっていく世界観が美しい「ユーレイ」など、楽曲たちは実に様々な表情を見せる。そして最後に収録された15分弱に渡って繰り広げられるドラマティックな「今日は私が死んだ後の世界のことばかり考えていた」は圧巻で、「死」というシリアスなテーマに対峙した時にふと感じる孤独感、恐怖感、焦燥感、諦念を、抽象的なままの生々しい歪な形で吐露している壮大なナンバーである。
アルバムを通してどこまでもリアリスティックで、迷いのないクリアな音像を描き出す、重み・深みともに充分なアルバム。一度でも聴いたら、どこまでもあなたの耳を攻め立てる。

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発売日: 2010.5.26
レーベル名: BEAST WORKS
品番: VDCA-1012
価格: ¥1,400 (tax in)
posted by puri at 19:42| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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