2011年04月20日

悲岸 「メアリー / タイヨウトツキ」

悲岸 「メアリー / タイヨウトツキ」

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 ゆったりと進んでいくのに不穏な雰囲気を撒き散らす三拍子が印象的な「メアリー」。流れるようなサウンドの中に漂う悲壮感、一つ一つの音が生々しく鳴り響く緊張感は進んで行くに連れて存在を主張していく。コーラス部分のスリリングなリズムや刺すように切り込まれていくエッジの聴いたギターカッティングはリスナーの鼓膜をグサグサに刺していく。

 優しく滑りこんでくる「タイヨウトツキ」は、曲が展開していくにつれてアンサンブルは攻撃性を増しながらゆっくりと耳を浸食していく。それに比例するようにアルペジオの輝きは一層増していき、煌めくサウンドの向こう側には彼らの提示する温もりや優しさが垣間見える。心臓の鼓動のようにゆっくりと、しかし確実に刻まれるリズムはシンプルでありながらも印象的だ。

 浮かんでは消えていく音の軌跡が目に見える程、空間が透き通っている。透き通っているからこそ普段は息を潜めている、しかし実はこの世界のどこにでも潜んでいる黒く深い闇がここでは良く見える。悲痛な心の痛みを体現する二つの声と、その痛みを何とか受け止めて背負っていこうとする日本語のリリックとが重なった瞬間に発生するエネルギーは、この日常にだだっ広く蔓延んだ悲壮感を何とかして打ち破る為の一縷の望みだ。暗闇の中で必死に光を掴み取る為に、装飾に塗れた飛沫の夢を作り上げて闇から目を背けるのではなく、寧ろ彼らは闇以上に残酷でリアルなサウンドを用いて闇に拮抗していくという手段を選んだ。

 都内を中心に活動を続けるツイン・ボーカル4ピース・バンド "悲岸 (ひがん)" による初のシングル。

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発売日: 2011.1.29
自主制作
価格: ¥500 (tax in)
posted by puri at 15:14| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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