2011年03月10日

about tess 「Song of the bird」

about tess 「Song of the bird」

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 ツイン・ギター、ツイン・ベース、ツイン・ドラムスの計6人を擁する特異なラインナップで構成されるabout tess。11月17日にリリースされた彼らのサード・アルバム。しかし収録曲はCDの限界収容分数である74分に渡る1つの楽曲のみ。音楽を以てしてまさに人間の聴力の限界に挑んでいる化け物のようなアルバムである。

 彼らの演奏技術のクオリティについては最早ここで言うまでもないことだが、それでもここまで凄まじいと触れられずにはいられなくなってしまう。クリアでシャープに響き渡るドラムスのフレーズは小気味よく空間をスパッと切断する。その音には全くの淀みが無い。ベース・ラインが楽曲のボトムを根気よく繋ぎ止めることで楽曲の舵は失われず、かつサウンドの厚みを持たせるのに一役買っている。楽曲内で縦横無尽に暴れ狂うギターは時に高速にメロディを刻み、時にぼんやりとした夢のような空間を体現する。荒れ狂う嵐のような音像や静かな湖面のような音像をいとも簡単に創り上げる。

 先程も書いた通りこのアルバムは74分に渡る壮大な一曲のみを収録している。これはジャム・セッションではなく、きっちりと74分の展開を緻密にアレンジした結果の楽曲である。リズム・パターンは変わらずにギターのフレーズのみが変化していったり、かと思いきやいつの間にかリズムが変わっていたり、と少しずつの変容を繰り返していく展開は、同一フレーズをリピートしていく先に見えてくる快楽、そしてフレーズが少しずつ蠢いていく興奮を同時に取り入れながら、その先に待っている怒涛の展開へと突入していく。幾度と無く挿入される場面転換、しかしそれでも紛れもなく74分全体が「一曲」として響いているのは音像が変わっても緊張感や世界観が共有されているからで、その根底に存在する強靭な精神力にはただ驚かされるばかりである。

 74分間、気まぐれ一切なし。全てに意味がある。聴いた後の気持ち良い疲労感、そして爽やかな後味は此処でしか味わえない。是非この感覚を、そしてこのサウンドの迫力を74分間続けて体感して頂きたい。

Myspace
mixi

発売日: 2010.11.17
レーベル名: Virgin Babylon Records
品番: DDCZ-1719 (VBR-002)
価格: ¥2,000 (tax in)
posted by puri at 18:30| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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