2010年11月06日

SHELTER 「そして君は微熱の中で」

SHELTER 「そして君は微熱の中で」

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鋭く乾いたシングルコイルのカッティング。さながら淡々と時を刻む秒針のように、どこか無機質に時間軸を滑っていくアルペジオ。内省的な感情を爆発させるかのように残酷に響き渡るディストーション。それらが持つ闇を増幅させるかのように轟くベース・ラインに、焦燥感をくっきりとそこに刻んで行くドラムのスリリングなフレーズ。聴く者の全ての末梢神経を刺激するかのようにジワジワと音は攻め立てる。低音と高音を巧みに使い分けるボーカルは不穏と冷徹を交互に演出し、決して攻撃の手を緩めない。2010年代のオルタナティブ・ギター・ロックならではの初期衝動がここには込められており、どこか荒削りさは残るものの、シンプルなサウンド・プロダクションや文学的な日本語詞に潜むストレートな感情表現など、この3曲入り音源には初期衝動ならではのピュアネスが充満している。しかしサウンドの感触は明らかに異質である。ささくれ立っているという表現よりは、割れたガラスの上を裸足で歩かされているような感覚、という表現の方が近い。それ程までにこのサウンドはリスナーの耳と心臓に刺さるのだ。
しかし、攻撃的なサウンドと完全に自分を中心化した世界観を歌い上げる#1、#2の後に収録されている表題曲「そして君は微熱の中で」は明らかにサウンドのアプローチが異なっている。ゆったりと進んで行く8ビートにどこか温もりすら感じるギターのセンチメンタルなアルペジオ。歌詞の中にも「君」という対象が登場し、二人称の視点で楽曲は進んで行く。それは彼らが初期衝動を通過した先に獲得した新たなアプローチなのだろう。弱冠二十歳前後の彼らが次なるステージに早くも到達したと言う宣言を高らかに込め、リアルの極限を描いた渾身のセカンド・デモである。

Myspace
mixi

発売日: 2010.8.9
自主制作
価格: ¥500 (tax in)
posted by puri at 18:40| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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