2011年04月20日

YOU NAAT KHAT 「madrigal stage e.p.」

YOU NAAT KHAT 「madrigal stage e.p.」

 昨年8月に結成されたばかりの5ピースバンド、YOU NAAT KHATによるファースト・デモ音源。

 リバーブがかったボーカルと空間的に交差するギターが印象深く響く。ゆっくりと進んでいく安定したリズムの中を次々と音が出現していく様にすぐ意識を持って行かれてしまう。脳の覚醒をゆっくりと促すような単音フレーズや、じっと聴いていたくなるような美しいコードの重なり、そして不穏な空気感を放ちながら楽曲の礎を固いものにしているベースライン。リスナーにじっくりと聴かせる味わい深いフレーズを連発しながらアンサンブルはゆったりと進んでいく。90年代のオルタナティブ・ロックのエッセンスを取り入れたシューゲイズサウンド、そこに漂うどことない閉塞感や諦観の境地など、リアルな感情のブレを映し出すサウンドや楽曲感を踏襲しながらも、開けたメロディが耽美で壮大な世界観を楽曲にもたらす。地に足の着いたその歌唱力は既に圧倒的な存在感を放っており、滑らかな曲線を描きながら華やかで寂しげに響き渡る。

 とにかくこの5人のアンサンブルが美しい。珠玉のメロディやコード感が楽曲の至る所に散見されて、打楽器であるドラムスからすらも、リズムの向こうに綺麗なメロディが見えてくる程である。5つのサウンドが一切の無駄を排除し、ひたすらに美しさに向かって重なりを深めていくからこそ表現できる表現世界であり、既に完成された世界観がそこにある。それぞれにキャリアを積んでいるメンバーが集結したとはいえ、結成一年目にしてここまでの完成度を誇るのは驚くべきことである。

 今後の期待がますます高まる、最初の音源として極めて完成された一枚。この世界観は今後まだまだ広がりを見せてくれるはずである。

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発売日: 2011.2.10
自主制作
価格: ¥300 (tax in)
posted by puri at 15:29| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

the mornings 「SAVE THE MORNINGS」

the mornings 「SAVE THE MORNINGS」

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 激奇天烈でカオティックかつディスコーダント過ぎる楽曲っていうかエネルギーの塊みたいなのを放出しまくる4ピース・バンドthe mornings。CD帯にも書いてある通り結成8年目にして待望のファースト・フル・アルバムをリリース!

 アルバム全体を通して貫かれる変速ビートや痙攣そのものをサウンドで体現したかのようにビキビキ軋みまくるギター・フレーズ。小節を無視してはみ出しまくっているそのサウンドは既存のカテゴライズからも堂々とはみ出しており、確かにニュー・ウェーブやポスト・ハードコアを彷彿とさせる楽曲の構築力や90年代半ば頃の初期オルタナティブのようなドライでシニカルな空気感がそこらかしこに充満している楽曲群ではありますが、そこでただクールに終わってしまうのではなく、独自のサブカル感や密閉感の高い(しかし確実に外向きな)ナード感を爆発させているところが彼ららしい一面ではないかと思います。とにかく一曲に詰め込まれている情報量が半端ない。言葉で形容するのがもったいないサウンドなので是非お買い求め頂いてガッツリと聴き込んで頂きたい一枚。また今回迎えたゲスト勢の豪華さにも要注目。シャムキャッツ・thai kick murph、ARTLESS NOTE、ロレッタセコハン、SuiseiNoboAz、LAGITAGIDAなどなど幅広いゲスト陣のクレジットを見ていると、如何に彼らが各方面からのリスペクトを受けているかがよく分かります。

 激アップリフティングな「amazon surf」、スリリング変拍子がジワジワ沸点ににじり寄ってくる「マッドダンサー」ももちろん収録!Wiennersやtacobondsなどのカオティック・アンサンブル好きにはこれ以上なくバッチリハマるであろう珠玉の一枚であります!

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発売日: 2011/1/19
レーベル: TAKE A SHOWER RECORDS
品番: TASR-01
価格: ¥1,890 (tax in)
posted by puri at 15:19| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

悲岸 「メアリー / タイヨウトツキ」

悲岸 「メアリー / タイヨウトツキ」

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 ゆったりと進んでいくのに不穏な雰囲気を撒き散らす三拍子が印象的な「メアリー」。流れるようなサウンドの中に漂う悲壮感、一つ一つの音が生々しく鳴り響く緊張感は進んで行くに連れて存在を主張していく。コーラス部分のスリリングなリズムや刺すように切り込まれていくエッジの聴いたギターカッティングはリスナーの鼓膜をグサグサに刺していく。

 優しく滑りこんでくる「タイヨウトツキ」は、曲が展開していくにつれてアンサンブルは攻撃性を増しながらゆっくりと耳を浸食していく。それに比例するようにアルペジオの輝きは一層増していき、煌めくサウンドの向こう側には彼らの提示する温もりや優しさが垣間見える。心臓の鼓動のようにゆっくりと、しかし確実に刻まれるリズムはシンプルでありながらも印象的だ。

 浮かんでは消えていく音の軌跡が目に見える程、空間が透き通っている。透き通っているからこそ普段は息を潜めている、しかし実はこの世界のどこにでも潜んでいる黒く深い闇がここでは良く見える。悲痛な心の痛みを体現する二つの声と、その痛みを何とか受け止めて背負っていこうとする日本語のリリックとが重なった瞬間に発生するエネルギーは、この日常にだだっ広く蔓延んだ悲壮感を何とかして打ち破る為の一縷の望みだ。暗闇の中で必死に光を掴み取る為に、装飾に塗れた飛沫の夢を作り上げて闇から目を背けるのではなく、寧ろ彼らは闇以上に残酷でリアルなサウンドを用いて闇に拮抗していくという手段を選んだ。

 都内を中心に活動を続けるツイン・ボーカル4ピース・バンド "悲岸 (ひがん)" による初のシングル。

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発売日: 2011.1.29
自主制作
価格: ¥500 (tax in)
posted by puri at 15:14| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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