2010年11月06日

halt 「stir」

halt 「stir」

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Gt、Drのメンバーチェンジによる約3ヶ月の活動休止後、7月11日の盟友fifi企画「WITH fes」にて待望の再始動を果たした4ピース・バンド、haltによる初の全国流通音源。

キャリアを着実に重ねた上で手中に収めた実力は前作 ”outa” からのスキルアップを明確なものとしており、以前より顕著であった繊細なギター・フレーズの絡み合い、一音一音が丁寧に響くドラムスの各フレーズ、しなやかなラインを紡ぎ上げて音のレイヤーを鮮やかに重ねるベースは、より強固なアンサンブルの中で鳴っている。更にその楽器隊の上を歌い上げるボーカルはサウンドのクールなテクスチャーを熱量に変換し、より楽曲をエモーショナルに仕上げる。語弊を恐れずに言えば、”タイト” と言うよりもそれぞれのパートの重なり方が一層 “クリア” になった印象のサウンドである。その作用はリスナーを音の一つ一つに集中させる。また無駄を一切削ぎ落したアンサンブルであるが故に、生まれる音と音の隙間に消えていく音の軌跡をはっきりと耳で追うことが出来る。その音の消え際の美しさは線香花火を彷彿とさせる程である。それは音が生まれてから消えゆくまでの全ての瞬間に、その存在意義を与えているからこそ表現出来る美しさであり、彼らがいかに自身達の創りあげているサウンドに対して自覚的であるかの象徴ではないだろうか。ディレイのかけられた空間的なサウンドは空気中を軽やかに舞い上がり、音像に三次元的な効果を与え、音像が立体的に現れる演出をそこに加える。しかしそれだけではなく、その音像が消えていく様までも美しいと思わせることの出来るバンドはそういないのではないだろうか。「木の葉を隠すなら森の中」という言葉があるが、彼らはその逆で、シンプルかつ空間を開かせたアンサンブルを奏でることで一つの音の存在感、躍動感を徹頭徹尾創りあげているのだろう。緻密に計算された引き算の上に成立している素晴らしいアンサンブルである。

Myspace
mixi

発売日: 2010.9.15
レーベル名: miura
品番: MIUR-001
価格: ¥1,260 (tax in)
posted by puri at 18:49| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

SHELTER 「そして君は微熱の中で」

SHELTER 「そして君は微熱の中で」

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鋭く乾いたシングルコイルのカッティング。さながら淡々と時を刻む秒針のように、どこか無機質に時間軸を滑っていくアルペジオ。内省的な感情を爆発させるかのように残酷に響き渡るディストーション。それらが持つ闇を増幅させるかのように轟くベース・ラインに、焦燥感をくっきりとそこに刻んで行くドラムのスリリングなフレーズ。聴く者の全ての末梢神経を刺激するかのようにジワジワと音は攻め立てる。低音と高音を巧みに使い分けるボーカルは不穏と冷徹を交互に演出し、決して攻撃の手を緩めない。2010年代のオルタナティブ・ギター・ロックならではの初期衝動がここには込められており、どこか荒削りさは残るものの、シンプルなサウンド・プロダクションや文学的な日本語詞に潜むストレートな感情表現など、この3曲入り音源には初期衝動ならではのピュアネスが充満している。しかしサウンドの感触は明らかに異質である。ささくれ立っているという表現よりは、割れたガラスの上を裸足で歩かされているような感覚、という表現の方が近い。それ程までにこのサウンドはリスナーの耳と心臓に刺さるのだ。
しかし、攻撃的なサウンドと完全に自分を中心化した世界観を歌い上げる#1、#2の後に収録されている表題曲「そして君は微熱の中で」は明らかにサウンドのアプローチが異なっている。ゆったりと進んで行く8ビートにどこか温もりすら感じるギターのセンチメンタルなアルペジオ。歌詞の中にも「君」という対象が登場し、二人称の視点で楽曲は進んで行く。それは彼らが初期衝動を通過した先に獲得した新たなアプローチなのだろう。弱冠二十歳前後の彼らが次なるステージに早くも到達したと言う宣言を高らかに込め、リアルの極限を描いた渾身のセカンド・デモである。

Myspace
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発売日: 2010.8.9
自主制作
価格: ¥500 (tax in)
posted by puri at 18:40| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

八十八ヶ所巡礼 「八+八」

八十八ヶ所巡礼 「八+八」

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独特の曲展開、ブレイク・転調連発のオンパレード。一聴すると頭の中がハテナマークでいっぱいになるような、しかしそれでいてこの両耳を襲ってくる爽快感は一体何だ?プログレッシブ・ロックやニュー・ウェイブの流れを汲んだ、圧倒的な存在感を放つギター・サウンド。リズム・マシーンのように正確なビートを吐き出しつつ、しかし生音から生まれてくる ”肉体性“ を主張し続けているドラムス。ルートという概念を超え、ギターと双璧を成す程のリフ製造機と化しているベース。それらが一ミリのズレも生じさせずにユニゾンし、ブレイクし、時にバラバラになりまた一塊となる。曲展開は解体され、均一化されることを拒否する。さながらレコード盤の溝のようにリズムの凹凸は連続しているが、レコード盤のように規則性のある凹凸ではない。かと思えば、疾走感の凄まじい8ビートが貫かれ、直線的なビートが底からフロアをひっくり返してしまうような場面もある。まるでつい先程まで目の前に存在していた道が幻のように消え、その光景に狼狽している間に突然、とんでもない所にブラックホールが出現する程の奇天烈さである。この絶妙なバランス感覚、そしてリリックや曲名に明確に現れているボキャブラリー・センスは一体どのようにして生まれてくるのだろう?このサウンドは一体今後どこまで進化するのだろう?

既存曲の新録8曲、プラス新曲が8曲、故にアルバムタイトルは「八+八」、発売日も8月18日と、アルバムの細部にまでアーティストイズムを貫き通したコンセプトには完璧さを感じる程である。そして驚くべきことにこれは彼らのファースト・アルバムなのである。次作では一体何が起こると言うのか。

Myspace
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発売日: 2010.8.18
レーベル名: Psychederic Progressive Revolution / YOUTH.inc.
品番: PPR-1004
価格: ¥2,000 (tax in)
posted by puri at 18:31| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

where is my mind? 「Mary」

where is my mind? 「Mary」

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先日7/24にキノトで行われたレコ発企画も大盛況のうちに終了、バンドとして着実な進化を遂げている4ピース・バンド“where is my mind?”。そのイベントより販売開始された彼らの最新7曲入り音源。
サウンドからどことなく漂ってくる悲壮感や索漠感。誰もが感じたことのある行き場を無くした感情達はどこへ向かうことも出来ず、やがて日常の煩雑なルーティンワークに飲み込まれて己の心の底に沈殿する。その沈殿とはその人の生きた証そのものであり、痛烈なまでのリアリティを伴っている。where is my mind?のサウンドが美しいと感じるのは、人間の生や本能へ対するリアリズムが楽曲でストレートに提示されているからであり、同時に”生きる”ということを肯定しているというところに重点がある。一見ネガティブに見えるリリックの数々は、実は”生”そのものを謳歌しているのではないか。「誰か早く見つけて」と他人と繋がりを求めること、「debase me」と残酷な言葉を伝える相手が存在しているということ、「僕らがもし出会わなければ誰かを愛する事を信じれた」という一節の後、「それでも出会った」ことを選択したということ。自ら命を絶つというヘヴィな題材を扱った「レダ」に登場する少女も、自らの意思で選択したという意味では最期まで生きていた。
我々は生きる上でいつでも岐路に立たされ、選択を迫られ、苦しんだ上で決断し時に後悔する。自暴的になる。論理の範疇外の行動を取ることがある。それこそが生のリアリティであり、時にとても歪な形をしている。where is my mind?はそのリアリティを修飾することなく、生々しさを保ったまま表現しているからこそ美しい。苦悩と格闘する様を痛烈に表現しているからこそ素晴らしい。だからこそサウンドに生命が宿り、美しい軌跡を描きながら音像を広めていく。純粋無垢なその音楽はリスナーと共振し、今後も更に広がりのある世界を見せてくれることであろう。

Myspace
audioleaf
mixi

発売日: 2010.7.24
自主制作
価格:¥1,000 (tax in)
posted by puri at 18:28| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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