2010年01月12日

ALL IS VANITY 「虹彩とシナプス」

ALL IS VANITY 「虹彩とシナプス」

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前作「嘘の真実」より約 10 ヶ月。ライブ本数を重ね、メンバー個々及びバンド全体のビルドアップを経て制作された 3 曲入りのセカンド・デモ。

一曲目のイントロから、スネア。ドラムの凄まじい連打による攻撃態勢で幕が開く。その攻撃性はその後訪れる静寂のパートの中にさえも圧倒的に表現されている。重みのある性格なリズム、緊張感マックスのアルペジオ。そして特筆すべきは、このデモに含まれている音のすべてが明確なベクトルを持って鳴らされているということである。つまりすべての音に意味がある。それだけでなく、すべての音が 100% の状態で録音されている。中途半端なものはここでは一音たりとも鳴っていない。全力で緊張感を表現、或いは全力でカオティック、時には全力で繊細に紡がれる音の数々。鳴らなくてもいい音なんてここには全く入っていない。どれか一音、或いはどこかの数秒の無音が欠けていても楽曲は 99 % になってしまう。それではここまで気持ち良くならない。全速力で走らなければやってこないランナーズ・ハイのように、この快感は演奏者のメンタル、フィジカル両面に相当な負荷を与えなければ表現することが出来ない。そこまでの覚悟が出来ているバンド、他にそういない。そしてその条件はリスナーにも共有される。つまりはリスナーにも同等の負荷を強いる程の緊迫感があり、それをリスナーに強制させ得る程の説得力が彼らの楽曲にはあるのだ。あぐらを掻きながら、寝転びながら、或いは単なる BGM として彼らの楽曲を聴くことは許されない。音楽の楽しみ方というのはあくまでリスナー・サイドに委ねられるものなのでここでいくら言及しても仕方が無いのだが、それでも言いたい。このデモ音源は、真っ向から彼らの演奏に対峙した状態、言い換えるのであれば、彼らと正当な「対話」のプロセスを踏んだ上で聴かれるべきだと強く思う。そうすることで、彼らの本質は最大限に発露されるからである。

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発売日: 2009.11.29
自主制作
価格: ¥500 (tax in)
posted by puri at 18:34| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

cigarette in your bed 「dive e.p.」

cigarette in your bed 「dive e.p.」

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先月紹介した Pygmalion との合同レコ発パーティーを成功に収めたシューゲイズ・バンド、 cigarette in your bed の最新 e.p。

アコースティックギターとバックグラウンド・ノイズの絡みが印象的な楽曲からこの e.p. はスタートする。僅か一分半のトラックではあるが、シンプルな構成の中に彼らの武器である儚げなメロディ、途方に暮れる感情を表現したような混沌が充満しており、 e.p. の幕開けに相応しい intro 的な楽曲である。そしてこの楽曲のタイトルは「teenage is dead」。これ程までに痛快で残酷なタイトルが他にあるだろうか?シューゲイザーというジャンルは残酷な描写で耽美な風景を映し出すジャンルなのだが、その思想をタイトルのみでここまで端的に表現されてしまうと、そのセンスに驚きを隠し得ない。

正確なビートを淡々と刻む冒頭のドラムが印象的な「dive to white」、優しい歌声のレイヤーが美しい「muff song」など、 90 年代の洋楽のエッセンスがあらゆる形で随所に表出していながらも、断片的にトレース可能な「water」の日本語詞など、日本産バンドとしてのアイデンティティを彼らはしっかりを備えている。また、どの楽曲においても緻密に設計された音響的なミックスは、とても美しい俯瞰的景色を表現しており、また世界観も隅々まで完璧に統一されている。そこから垣間見えるのは、音楽表現に対するバンドのストイックな姿勢である。

形式だけでなく中身の伴った、本当の意味でのオルタナティブ・ミュージックが隆起した日本の 00 年代、その終わりにリリースされた記録的な作品。

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発売日: 2009.12.12
自主制作
価格: ¥500 (tax in)
posted by puri at 18:17| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Pygmalion 「Heaven's ep」

Pygmalion 「Heaven's ep」

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4 ピースバンド Pygmalion によるこの 3 曲入り e.p. には、セルフタイトルが冠されていることからも分かるように、彼らの本質そのものが見事に充填されている。ポスト・ロック、シューゲイザー、アンビエントなど、 90 年代以降のオルタナティブな音楽要素を巧みなセンスで吸収し、音の要塞と表現し得る程までに整合された楽曲の構成は目を見張るものがある。繊細な演奏によりアウトプットされる音のひとつひとつは完全無菌室のように真白で無垢な状態のままステージから放たれ、故にギターのディストーションすらも暴力的かつ美しく演出されている。またディレイやリバーブなどのエフェクトに彩られたトラックは非常に空間的で壮大である。シューゲイザーの影響により表現された幾重にも重なる音やボーカルの儚げなレイヤーは、耽美な音像を見事に描き出す。静かなサウンドスケープから少しずつリスナーを巻き込み、徐々にテンションを高めていった挙句、頂点で緊張感は限界点を超える。そしてその緊張感、プレッシャーの直後に訪れる大々的な開放には手に汗を握らされてしまう。楽曲の持つクールなイメージとは裏腹に、サウンドの構築はとにかく熱い。

彼らの持つ凄まじい緊張感が故に、#3「ストーム・イン・ヘブン」のようにボーカルをフィーチャーした楽曲においても演奏から気を逸らす隙が無い。音の霧の中をいきなり飛び出してくるようなハッキリとしたメロディ、それを耳で追いかけることは出来るが、しかし次の瞬間には一体何が巻き起こるのか分からない緊張感、あるいは不穏感。また、予測不能なものに対して自然に抱いてしまう探究的好奇心と少しの恐怖感。彼らはこの 3 曲のみで、リスナーを自由自在にマインドコントロールすることが出来る、非常に技巧的で実力派なバンドである。生々しく、かつ幻想的な雰囲気を纏った Pygmalion の意欲作である。

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発売日: 2009.12.12
自主制作
価格: ¥500 (tax in)
posted by puri at 18:03| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

die!!die!!color!!! 「PHOTONOISE」

die!!die!!color!!! 「PHOTONOISE」

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デジタル・ハードコアユニット「die!!die!!color!!!」がドロップした 8 曲入りのニュー・アルバム登場!

鋭く連射されるキック。ひたすら裏を攻め続けて激アッパーな、かつ楽曲ごとに多種多様な表情を見せるブレイクビーツ。これだけでも既にダンサブルで熱い仕上がりなんですが、そこに更に加わるノイジーなギターリフが絶妙にトラックにフィット。バンド全体の音圧をあげているのはもちろん、ビートの持つ暴力性やカオティックな要素を一際引き上げています。その上を暴れまわる男女混合ボーカルはスクリーム & シャウトしまくり。ボーカルのスイッチするタイミングもハイテンポで絶妙に気持ち良いです。いや、かと思いきやですよ、ソフトなキーボードのフレーズが特に印象的で、むしろ優しい感触すら覚える #5 「Nu-kegara」では一転、メランコリックなメロディーが大々的にフィーチャーされていて、時折入ってくるシャウトとの相乗効果でインパクトのあるコントラストを作り上げています。更にその次に収録されている #6 「Ride on track, Need your fuck」では冒頭から高速ブラストビートが炸裂、そのまま終わりまで突っ切っていく圧倒的な疾走感があったりと、とにかくレパートリーの幅が広い!デジタル・ハードコアファンのみならず、ジャングルやブレイクビーツ、ハウス、ヒップホップ、ハードコアパンク、カオティックなどあらゆるジャンルのリスナーにも受け入れられる要素がアルバムの至る所に散りばめられています。デジタルと人間の真っ向勝負を目の当たりにしているような、そしてその結果起こる相互の化学反応を見せつけられているような、攻撃的かつしてやられたり!なアルバムです。

終盤に収録されている Marlee、 M-Project 両氏によるリミックスも激ファット!全く隙のない最強のアルバムがここに完成です!

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発売日: 2009.10.11
レーベル名: MOB SQUAD TOKYO
品番: MSTCD003
価格: ¥1,200 (tax in)
posted by puri at 18:00| ディスクレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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